診療のご案内
春〜初夏に流行する感染症
ヒトメタニューモウイルス感染症
ヒトメタニューモウイルスは、2001年にオランダで発見された気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こすウイルスの一種です。小児の呼吸器感染症の5〜10%がヒトメタニューモウイルスが原因と考えられています。この感染症は幅広い年齢層で感染を繰り返します。大人では風邪症状ですむことが多い一方で、乳幼児(特に2歳以下)や高齢者では重症化することがあり注意を要します。流行時期はRSウイルス感染症流行(秋〜冬)後の、3〜6月頃に感染者が増加します。
- 潜伏期間
- 2〜5日
- 症状
- これまでよく知られたRSウイルス感染症と極めて似ています。潜伏期を経て咳・鼻水で始まり、やがて高熱が出て症状が徐々に悪化していきます。熱が4〜5日続き、咳込みがひどく夜間眠れなくなったり、ゼーゼーして呼吸が苦しそうになり細気管支炎や肺炎に進行すると入院して治療することになります。1回の感染で免疫を獲得できないため何度も感染します。年齢が上がるにつれて徐々に症状は軽くなります。
- 診断
- 迅速診断キット(10〜15分で診断)があります。6歳未満、胸レントゲン写真で肺炎が強く疑われる場合に限り実施できます。
- 治療
- 特効薬はありません。RSウイルス感染症と同様に対症療法(咳・痰、鼻水を抑える薬や気管支を拡げる薬)となります。熱があってもお薬が飲めて水分摂取が十分であれば、通常、1週間程度で症状は治まります。また、ヒトメタニューモウイルスと同時に細菌にも感染してしまうことが少なくないので、熱が3日以上続くときは抗生剤を処方します。喘鳴を認めた場合、気管支喘息に準じた治療を併用することもあります。
- 感染経路
咳やくしゃみなどによる飛沫感染、知らずにウイルスに触れてしまう接触感染で拡がります。手洗い・うがいが予防に有効です。