■ロタウイルスワクチンについての現状での見解(平成25年1月)
安全性が確認されたため平成25年1月より当院でもロタウイルスワクチンの接種を開始しております
2011年11月より開始されたロタウイルス胃腸炎を予防する(経口弱毒)生ワクチンで、重症のロタウイルス胃腸炎の約90%を予防すると言われます。
仕事をされているお母さんにとって、お子さんの急な嘔吐や頻回の下痢は間違いなく負担になります。ましてやお子さんが入院ともなると、仕事を休んでの付き添いとなり、お母さんの負担はさらに増大します。つまり、このワクチンは、Hibワクチンなど乳児の生命の危機を救うワクチンとは多少意味合いが異なり、どちらかというとお母さんの負担軽減に重きを置いているのではないかと考えています。
危惧される点は、ポリオと同様にワクチン株が変異する可能性はないのか?という点です。経口生ワクチンですので、1週間程度、お子さんの便にウイルスが排泄されます。ワクチンを接種していない兄弟にワクチン株の伝播が認められたというデータもあるようです。かつて、ロタウイルスワクチンでロタシールドというものがありましたが、このワクチンは一万人に一人の割合で腸重責の副反応が起こるとのことで、1年足らずで発売中止となりました。その後を継いだ今回のロタリックスは、現時点では安全性に関して、接種時期を守ることにより心配する事象は無いようですが。
以上より、当クリニックではこのワクチンは緊急性に乏しいと判断し、もう少し模様をみていきたいと考えています。