■小児喘息
喘息患者の気道粘膜は浮腫(むくみ)や分泌物の増加により荒れた状態になっています。こうした状態に風邪などの感染、ダニやハウスダスト(ダニが含まれています)、動物のフケ、カビなどのアレルゲンの吸入、タバコや線香の煙、運動、ストレス、冷たい空気などの刺激が加わると、喘息発作が起きてしまいます。典型的症状は反復する咳(いったん出るとなかなか治まらない)、喘鳴を伴った咳および呼吸困難であり、夜間や早朝に出現しやすいという特徴があります。非喘息患者では反応しないようなわずかな刺激でも、気道が慢性的に荒れている場合は反応してしまいます(気道過敏性の亢進)。
小児喘息の発症は3歳まで70%、5歳までが90%を占めます。乳幼児期あるいは学童期に適切な治療を受けた場合、小学校入学時あるいは思春期までに喘息が治癒する率が高くなります。しかし、適切な治療を受けずに放置すると、喘息発作を繰り返して難治性の喘息となり、一部は成人喘息に移行します。
乳児喘息の吸入系アレルギー検査では、乳児期前半ではIgE抗体が陰性のことが多く、乳児期後半から幼児期にかけて陽性を示すようになります。しかし、たとえIgE抗体が陰性であっても乳児喘息では、ダニに対するリンパ球の反応性が亢進していることが報告されています。
もちろん吸入系アレルギー検査で陽性だからと言って、必ずしもそれが喘息を引き起こしているとは限りません。しかし、検査で陽性に出た物質は喘息の症状憎悪に関与している可能性が高いとは言えます。